2011/03/21 早野教授クイズ2に挑戦
一昨日19日、twitter上で東大理物の早野教授(@hayano)が理系学生に課した問題(http://togetter.com/li/113650)に挑戦し、その回答を前回のエントリに書いた(http://d.hatena.ne.jp/ninjicarrot/20110319/1300547680)。
20日正午までに、27もの答案が集まり(http://www.twitlonger.com/show/9cf7cr)、現在、http://hiroshijp.com/?p=196において回答の投票が行われている。私の回答にも票は比較的たくさん集まっているが、中には私の間違った(理解不足な)答案にも票が集まってしまっている。また、地球物理学生への問題として提出された「天然放射線による被曝量が,その人が住んでいる地域によって異なる理由を,簡潔に答えなさい」という問題は、「天然放射線」の指す内容が多岐に渡る(宇宙線の被曝、地殻中の放射性物質壊変に伴う被曝、断層等から大気に放出されるラドンの影響、建材中の放射性物質の影響)ことから、模範解答は集まった回答の良い部分を集めて作るということになるだろう。
福島での原発問題を考える上で必要となる基礎的な知識を問う、今回のようなクイズ形式でのツイートが、その問題を解くことができる理系の学生・研究者のみならず、一般の人の関心をも集めたということはとても興味深い。しかし、理系の学生としては、純粋な学問的興味で終わってしまうのではなく、政府やマスコミが発信を続ける情報を科学的に検証・議論し、その結果を分かり易い形でまわりの人に伝えていくということが大事なのだと思う。しかし、それは能力的にとても難しい。ブログ等に発信するかどうかは別として、家族とか友達とかに分かり易く説明するだけでも、学生としての一定の役割を果たすことになるのではないか?
などということを考えていたら、早野教授から新たな問題が提出された。
http://togetter.com/li/114077
■問題1
セシウム137→バリウム137のβ崩壊に関する(物理に興味がある方向けの)問題
図参照(http://plixi.com/p/85501302)
■問題1への回答
1、反電子ニュートリノ
2、ダウンクオーク(d)
3、アップクオーク(u)
4、弱い相互作用
5、(この場合)負電荷をもつウィークボソン(W-)
■問題2
セシウム137→バリウム137のβγ崩壊に関する問題:この崩壊で出るβ線は物質を透過する能力が低く,γ線は透過力が強い.それはなぜか,簡潔に答えよ.
■問題2への回答
http://ie.lbl.gov/toi/nuclide.asp?iZA=550137
によると、Cs-137が発するガンマ線のエネルギーは661KeVであり、ベータ線のエネルギーは513KeVを上限とする分布を取る。
両者のエネルギーは大きく違わないが、ベータ線(電子)は荷電粒子であるため、物質の中を通り抜ける際に周囲の電子を励起しながら進むので早くエネルギーを失ってしまう。一方、ガンマ線(光子)は電荷を持たないためそのような作用は起こらず、比較的長距離を貫通する(661KeVなら鉛でも平均自由行程で5mm程度)。
■問題3
I-131(半減期8日)とCs-137(半減期30年),各々同数の原子核があったとき,そのベクレル値 Bq はどちらが大きいかを述べ,その比率を計算せよ.
■問題3への回答
1秒間に1つの原子核が崩壊して放射線を放つ放射能の量が1ベクレルである(Wikipedia)。
半減期8日のI-131と半減期30年のCs-137では、単位時間あたりに崩壊する原子の数は30year/8day=1370倍だけI-131の方が多い。よって、ベクレル値もI-131の方が1370倍高い。
■問題4
この図 http://plixi.com/p/85501302 の①の粒子は(正常に動いている)原子炉からも出ている.一方,①とよく似た粒子が太陽から飛んで来ている.それはなぜか,簡潔に述べよ.
■問題4への回答
太陽の内部では、水素燃焼などの核融合反応が起こっており、その過程でニュートリノが生成されるから。また、ニュートリノは貫通力が非常に高く、太陽の表面にある物質を通り抜け地球に到達できるから。
■問題5
文科省が http://bit.ly/gefRsP で環境放射能水準を公表している,たとえば岡山県の過去の平常値の範囲は0.043〜0.104µSv/h,一方,沖縄県では 0.0133〜0.0575µSv/hと有意に低い.この主たる原因は何か.
■問題5への回答(自信が無い)
地質構造が影響していると思われる。
http://www3.starcat.ne.jp/~reslnote/A8_7.htm#12 によると、岡山県には、"Felsic Plutonic"(花崗岩)の領域が多く存在している。花崗岩はU,Thを豊富に含むため(http://www3.starcat.ne.jp/~reslnote/A8_8.htm#11)、岡山県での線量が高いのだと考えられる。
■問題6
【同じ個数の】X線とγ線を比較した場合,人体への影響が大きいのはどちら?
■問題6への回答(これも自信があまりない)
X線であれガンマ線であれ、エネルギーの大きい方が人体への影響が大きい。
(理由)
1、
X線の波長は1pm〜10nm、ガンマ線の波長は10pm以下である。これはエネルギーに換算すると、およそ
X線:100eV〜1MeV
ガンマ線:100KeV以上
となる。まず、X線とガンマ線のエネルギーには、重複する領域があるため、X線であるかガンマ線であるかのみの情報でエネルギーの大小は判断できない。
2、
X線・ガンマ線が人体に影響を与える理由は、それらが生体中の分子との間で光電効果を起こし、電子をはじき出すからである。はじき出された電子は、生体中の分子を電離しDNAの切断などの悪影響を引き起こす。電離される分子の数は、はじき出された電子のエネルギーに(およそ)比例し、はじきだされる電子のエネルギーはもともと入射したX線およびガンマ線のエネルギーと相関がある。よって、X線であれガンマ線であれ、エネルギーの大きい方が人体への影響が大きい。
■問題7
福島で放水作業にあたっておられる陸自の方々は,厚さ3ミリの鉛板入の防護服を着ているhttp://bit.ly/hHMSkg .①なぜ鉛か(易問).また,②3mmの鉛により放射線の影響を何分の1ぐらいに押さえられるかを概算せよ(難問)
■問題7への回答
1、密度が高く(電子密度が高い)、同じ体積でも効率よくβ線などの荷電粒子を抑えることができるため。
2、
Cs-137壊変によって生じるβ線、ガンマ線を防ぐということを想定する。β線運動エネルギーの上限は513KeV、ガンマ線のエネルギーは661KeVである。
・β線
今回考える低エネルギーのβ線が鉛中で起こす相互作用は主に電離で、電子対生成は起こさない。よって、放射長を用いた飛程の推定は行えない。上限エネルギーがEmax(MeV)のβ線の飛程R(g/cm2)は、
R = 0.407(Emax^1.38) (但し0.8> Emax > 0.15)
に従うという経験則がある。今回の場合は、R=0.16g/cm2である。これは、11g/cm3の密度を持つ鉛に換算すると、0.16/11=0.014cm=0.14mmに相当する。よって、3mmの鉛で十分に止めることができる(何分の1になるかという計算は行えず)。
・ガンマ線
661KeVのガンマ線の平均自由行程はおよそ5g/cm2 = 4.5mm(鉛換算)である("Passage of particles through matter (rev.)",Particle Data GroupのFigure27.16を参照)。3mmの鉛では、exp(-3mm/4.5mm) 〜 50%のガンマ線が通り抜けてしまう。仮にガンマ線を1%にまで減らすことを考えると、平均自由行程の4.6倍つまり約20mmの鉛版が必要になる。
■感想
今回新たに早野教授から与えられた問題は、前回よりはるかに難しかった。
原発に放水活動を行う隊員が装備すべき鉛の厚さを求めるだけでも、私には現実的な時間で適切な答えを出せる自信が無い。現場では、非常に専門的な知識と経験が必要だろうということが想像できた。
2011/03/19 早野教授クイズに挑戦
福島の原子力発電所の事件について、twitterで正確な情報を迅速に伝えている早野教授(@hayano)が、理系学生に対して問題を出している。回答を作成するためにいろいろ調べているうちに、自分が如何に不正確な知識しか持っていないかが分かった。
■問題1
【理系学生必修】今,半減期8日のI-131原子核が10000個あったとします.8日後に何個残っているか答えなさい.最初の数が2個の場合はどうでしょう?最初の数が1個だったらどう?
■問題1への回答
・I-131が10000個あった場合
およそ5000個残っている。正確に言えば、5000±50(68% C.L.)
・最初の数が2個の場合
2個残っている確率が25%
1個残っている確率が50%
1個も残っていない確率が25%
・最初の数が1個の場合
1個残っている確率が50%
1個も残っていない確率が50%
■問題2
【物理学生必修】ヨウ素(I-131)が検出されたと報じられています.I-131であることを確認する原理を,100字以内で述べよ.
■問題2への回答
核分裂の結果生じるI-131は不安定な原子核であり、ガンマ線を放出しながら安定な状態に戻ろうとする。放出されるガンマ線の主なエネルギーは364KeV、637KeV、284KeVである。Ge半導体などエネルギー分解能の高い(数eV)検出器で、これらのピークを同定することでI-131の存在を判定できる。
■問題3
【物理大学院生必修】I-131を検出するのに必要な測定器と,その測定原理について述べよ
■問題3への回答
ガンマ線のエネルギーを高分解能で測定できるGe半導体検出器を用いる。ガンマ線が半導体中の欠乏層を通るときに生成される電子・正孔のペアを、逆バイアス電圧によって加速し電極で収集する。得られた電荷の量が、ガンマ線のエネルギーにおよそ比例する。Ge検出器のバンドギャップが小さいため(数eV程度)、高分解能でガンマ線のエネルギーを決定できる。
■問題4
【物理大学院生選択問題】I-131が出す放射線の種類をすべて述べよ.I-131であることが確認できる放射線の種類とそのエネルギーを述べよ.
■問題4への回答
http://ie.lbl.gov/education/isotopes.htmを見て調べた。
・ガンマ線(主なもの)
エネルギー
80.185KeV 2.62%
284.305KeV 6.14%
364.489KeV 81.7%
636.989KeV 7.17%
722.911KeV 1.773%
・ベータ線(主なもの)
エネルギーの上限値
247.89KeV 2.10%
333.81KeV 7.27%
606.31KeV 89.9%
ガンマ線のエネルギーは上記の値で決まっているため、I-131の存在の証拠として用いることができる。
ベータ線のエネルギーは、上記の値を上限とする広い分布をとるため、I-131の存在の証拠として用いることができない。
■問題5
【地球物理学生必修】天然放射線による被曝量が,その人が住んでいる地域によって異なる理由を,簡潔に答えなさい.
■問題5への回答(私は地球惑星科学専攻だが自信が無い)
屋内では被曝量は、建材等に含まれるK等の量の差に大きく依存する。
屋外における天然放射線による被曝量の差は、その地域の地質構造の違いが影響している。
環境ガンマ線を発する主な放射性元素は、U、Th、Kの3種類であるが、
それらの元素の取り込まれやすさ(分配係数)は、流紋岩質・安山岩質、玄武岩質で
大きく異なっている。また、地質年代が古くなるほど、これらの放射性元素は減少していく
ため、地質年代の違いが被曝量の違いを生む可能性もある。
参照 http://www3.starcat.ne.jp/~reslnote/A8_6.htm#59
(私は、定量的にはよく分かっていない)
■問題6
【理系学学部生必修】半減期Tの放射性物質の個数Nの時間変化N(t)をあらわす微分方程式を即答せよ.
■問題6への回答
時間t後の個数N(t)は、N(t) = N(0) * exp(-(ln2)*t/T)
これより、微分方程式は、-dN(t)/dt = (ln2)/T * N(t)。
■問題7
【理系学生選択】測定値15020 Bq/kg などと報じられていますが,同じサンプルを,その直後にもう一度測定するとどうなると考えられるか,簡潔に記しなさい.http://bit.ly/eAWzLW
■問題7への回答
直後に測定したとすると、I-131の量自体は前回測定時と変わらないと思われる。
次回測定時に前回測定時との差が生じたとすると、それは、サンプル量(kg)と測定時間(s)の小ささから来る統計誤差だろう。
この測定に用いたサンプルの量と測定時間が明示されていないため、その統計誤差がどの程度であるのかは議論できない。
2011/02/28 【滋賀県守山市】続・堀井動物園全焼について思うこと
私の実家(滋賀県守山市)から歩いて5分のところにある堀井動物園の全焼事件から3日が経ちました。全国ネットのニュースでも報道されたらしく、私の近辺でも事件について知っている人がいました。
今回の火事についての私の意見は、前回のポスト
http://d.hatena.ne.jp/ninjicarrot/20110225/1298644363
に書きました。
結論から言うと、この動物園は、スペースが許す動物の数をはるかに越える量の動物を飼育していた。管理状況はずさんであり、衛生面・安全面の観点から容易に再開を許してはならないと私は考えています。
堀井動物園は、滋賀県守山市の駅から10分程度のところにある約600平米の倉庫に、トラ・ワニなどの大きな動物を含む200種300匹の動物を飼育していました。25日未明に出火し、そのうち約200匹の動物が焼け死んだと見られています。出火原因はまだ特定されていませんが、温度管理のために用いていたヒーターが原因ではないかと考えられています。
動物園の園長が動物を集め始めたのは約30年前。引き取り手の無い動物や、通常の動物園では展示できない怪我をした動物なども引き取って来ました。園長は、現状のスペースで飼育できる動物数の限界を理解しながらも、やむにやまれぬ気持ちで動物を引き取りつづけた結果、600平米に300匹という過密状態が生まれたのではないかと考えられます。
この動物園の主要事業は、「移動動物園」。幼稚園などの施設に、トラックで動物を搬入し、子供たちの前で放す。普段なかなか触ることのできない動物と触れ合う貴重な機会を提供していました。
私の通っていた幼稚園(立入が丘幼稚園)にも、移動動物園が来たことがあり、大きな動物が校庭を駆け回る様子に戦々恐々とした覚えがあります。また、昔飼われていたラクダの散歩は、私の家の前を通ることもあり、近所が沸き立つイベントでもありました。ある意味、近所との結びつきが強い動物園であったと思います。
しかし、
堀井動物園は、今回の火事以前にも、悪臭の問題(近辺100mには常に悪臭がたちこめている)や小さな火事、動物の脱走事件を起こしてきました。
「金儲けのための動物園ではない」
「いずれは広い土地で動物園を開く夢がある」
「堀井動物園で引き取られなければ、動物は殺され
てしまう運命だった」
という堀井さんの弁、ファンの意見は最もですが、衛生面・安全面での管理が行えないほど動物をたくさん飼うことは、結局堀井さん自らの首を締めるような事態につながるということが、今回の火事によって明らかになってしまったのではないでしょうか。
私が小学生の時、授業で堀井さんの話を聞く機会があり(ビデオだったかもしれませんが)、「堀井さんに動物を大事にしてくれてありがとう」という趣旨の手紙を書く(直接言ったのかもしれませんが)ということがありました。当時は、特に疑問に思いませんでしたが、
「善意で頑張っている人なのだから、とりあえず応援する」
という思考停止が起こっていたと思います。また地域にもこの雰囲気が充満していると思います。堀井さんのブログに集まったコメント(下記リンク参照)を見ると、
「地元の反対に負けるな」
(地元民の放火なのではないか?という心が痛むコメントもありました)
「園長さんは頑張ってきたのに、批判する人が許せない」
「動物を大事にしている園長の気持ちが分からないのか?」
「頑張って早く再開してほしい」
などといった意見が多々ありました。
でも、それだけ動物園・堀井園長のことを思う気持ちがあるなら、なぜ、施設の現状を直視することを避け、「早く再開してほしい」などと言えるのでしょうか?
各地から集まる引き取り依頼を断れず、これまで堀井園長は動物を増やし続けてきたのではないかと思います。しかし、それらがこれまで問題となり、今回の火事につながってしまいました。
動物園・園長を愛するファンの人こそ、無責任に応援するのではなく、動物園をどうすればよいか、時には厳しい意見もしなければならないのではないでしょうか。
今日更新された園長のブログ(下記リンク参照)によると、園長は、
「復旧作業を並行して行いつつ、移動動物園も行っています」
「今までと変わらない内容でのイベントをさせて頂けますので、イベントのご依頼を心よりお待ちしております」
と書き込んでいます。そもそも復旧作業と移動動物園は並行できるものなのでしょうか。これまで同様の無謀な経営を繰り返そうとしているようにも見受けられます。今回の火事で受けた被害の分を稼ぐためにも、移動動物園での興業収入が必要なのは分かりますが、今の自転車操業を続けることが堀井さんのため、動物のため、ファンのためになるのでしょうか。
堀井さんのブログに集まっていたファンからのコメント数を見ると、移動動物園を呼ぶファンは現れそうです。しかし、移動動物園が忙しくなるあまり、飼育環境の整備が疎かになり、また同じ事件を繰り返してしまうのではないか?と心配でなりません。
繰り返しになりますが、ファンの方こそ、安易に「頑張って!」と言ってはならないと思います。
また、私は、日々動物と触れ合っているわけではありません。(元)近隣住民でどちらかというと動物園の運営に批判的な自分が堀井さんに上記のような意見を伝えても、聞く耳をもってもらえないように思います。
どうか、ファンの方こそ、堀井園長に事態を直視するよう伝えて欲しいです。
下記に主要な報道やブログ記事をまとめました。
■主要な報道
火事当日に事態を伝えた報道(2011/02/25)
http://www.dailymotion.com/video/xh799v_yyyyyyyyyyyyyyyyy_animals
翌日の報道(2011/02/26)
http://sankei.jp.msn.com/region/news/110226/shg11022601580004-n1.htm
火事2日後の現場検証に関する報道(2011/02/27)
http://www.mbs.jp/news/kansaiflash_GE110226154400435609.shtml
■堀井動物園ウェブサイト
http://www.horii-zoo.jp/about.html
■園長のブログ
火事に関する園長からのコメント(2011/02/28)
「復旧作業を並行して行いつつ、移動動物園も行っています」
http://horiizoo.blog99.fc2.com/blog-entry-207.html
火事から3日以内に集まったファン等からのコメント
(一部に事情を知らない人からの誹謗中傷もある)
http://horiizoo.blog99.fc2.com/blog-entry-205.html#comments
■ネット上で集めた堀井動物園に関する情報
堀井動物園応援ページ
http://www.eonet.ne.jp/~koutokufudousan/c21n1/H1.html
堀井動物園に関するネット上の議論
(動物園で働いた経験のある人も書き込んでいる)
http://chiebukuro.travel.yahoo.co.jp/detail/1256274917.html?p=%E4%B8%89%E9%87%8D%E7%9C%8C&did=2078297926
FNSドキュメンタリー賞の候補になった堀井動物園に関するドキュメント
http://www.fujitv.co.jp/b_hp/fnsaward/16th/07-134.html
2011/02/25【滋賀県守山市】堀井動物園の全焼について思うこと
今まで、このブログは旅の記録用ブログだったけど、僕の地元・滋賀県守山市で衝撃的な事件が起こったので、そのことについての意見を綴ろうと思う。
滋賀で移動動物園の倉庫全焼 希少種含む300匹焼死
http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2011022502000198.html?ref=rank
実家(滋賀県守山市)から徒歩5分のところにあった堀井動物園が火事で焼けてしまい、逃げられなかった動物約300匹が焼け死んでしまったらしい。
堀井動物園は、動物園とは言っても外観はただのぼろい家といった感じ。園長が貰い手の無い動物などを大量に引き取り飼育していた。
また、堀井園長のおもしろい人柄や、民家の真ん中に大量の動物を飼っているその物珍しさから、有名なテレビ番組の取材が来ることも多々あった。
堀井動物園は移動動物園というイベントを開催しており、バスに動物を載せて僕が通っていた幼稚園でも開催してくれたことがあった。
ある意味、地域との結びつきが強かった動物園だったとは思う。
ただし、飼育環境はかなり劣悪だった。
せいぜい100坪ほどしかない土地に、カバ・トラ・キリン・ラクダなどの大きな動物を詰め込み、僕が守山に住んでたころも年に一度くらいは動物の脱走事件が起こっていた。
また衛生環境が悪いので、動物園の周囲には常に異臭がただよっていた。風向きによっては僕の家でも洗濯物が干せないという日もあった。
正直なところ、今回の火事も、
「ついに起こったか。。。」
という印象を持った地元の人も多いようだ。
動物園が地域に貢献していた面も大きいため、動物の脱走事故や異臭くらいなら、笑って周りの人も見逃していたかもしれない。ただ、今回は違う。たくさんの動物の命が亡くなったことに加え、一歩間違えば近隣の住民にも被害が及ぶ可能性があった(というか現に、消火活動などで生じた被害はあるとおもう)。
「ここにいる動物たちは、私が飼わなければ、死んでしまう運命だった」
と堀井園長は、動物を大量に飼うことの理由を力説していたけど、それなら、小動物のみを扱う動物園にすればよいし、動物園の規模に合わない大きな動物を大量に飼育する必要は無い。飼うこと自体が動物虐待と言われてしまう可能性もあるのだから。
堀井園長の、可愛そうな動物を守りたい、という夢は理解できるし、立派なことであるとは思う。
が、
より現実的な飼育方法をとるべき(飼育スペースに応じた動物数の調整)だし、地域の理解が得られなければ運営できない動物園である以上、衛生面・安全面での徹底的な管理を行う義務があると思う。地域の理解が得られなければ、せっかく救われた動物たちもまた手放さなくてはならなくなるのだから。。。
今回の事件は本当に悲しいことだが、堀井園長が動物園を続けることには、今のままでは賛成できない。
2010年10月10日〜19日 イタリア・ナポリ〜研究集会での発表など〜
宇宙線ミューオンを用いたラジオグラフィーに関するイタリア・フランス・日本等の研究グループが集まるワークショップに出席するために,イタリア・ナポリに1週間ほど滞在した.
http://mu-ray.fisica.unina.it/events/workshop_oct10/index.html
■発表
2日目の午前に発表.
ベストな実験結果ではなかったが,なんとかなった.
■実験
イタリアのグループと我々のグループは,異なるタイプの半導体検出器を使っている.実験室を貸してもらい,イタリアのグループの半導体のテストを少しだけやらせてもらった.
■イタリアのグループの研究環境を見学
●νμ→ντ→τ事象の乾板を見せてもらう
OPERA実験の原子核乾板読み取りの装置を見せてもらった.
実際にτ事象を捕らえた乾板を顕微鏡で見せてもらいながら解説してもらった(実はすごいことだと思う)
●ベスビオ火山の検出器を見に行く
検出器位置から臨むベスビオ火山
検出器の入ったバラックに隣接する土産物屋では,ベスビオから実際に噴出した火山弾などが売られていた.
が,なんだこれは?
「見ざる,聞かざる,言わざる」は日本のものだと言おうとしたが,英語で何と言ってよいか分からず,言わなかった.
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%89%E7%8C%BFによると,8世紀ごろに天台宗の教えとして伝わったものである可能性があるらしく,結果的には言わなくて良かったということかもしれない.
●INGV(Instituto Nazionale Geofisica e Vulcanologia)に行く
イタリアのグループが行おうとしているストロンボリ火山でのミューオン観測について話を聞くために,INGVを訪問した.ちょうど私の所属する地震研究所のような研究施設である.
イタリアの全火山における地震計の情報を集約している部屋があり,そこが格好良かった.
●番外編
ナポリ大学の食堂の前にいた犬.なんとこの犬はペットボトルのふたを自分で開けて水を飲むらしい.
■個人的に感動した事項
●セラピス神殿の3本の柱
INGVを訪問した後に,ナポリ大の先生に食事につれていってもらった.
ポッツォーリという街で,非常に景色の良いところだった.
だが,この3本柱,どこかで見覚えがあるぞ...
ライエル地質学原理の表紙だ.
よく見るとこの石灰岩質の柱は,根元は白く元の石灰岩の色を残しているのに対して,根元から数メートルより上は灰色になってしまっている.灰色の部分は,かつてその部分が海面下にあり,ある特殊な二枚貝が石灰岩の骨格を食べてしまったことを意味している(『地球46億年全史』リチャード・フォーティによる).何の変哲もない柱に見えるが,この地域の隆起・沈降の歴史をその姿に留める生き証人だったわけである.
とても感動したわけだが,とにかく先生の紹介してくれた店のシーフードパスタはめちゃくちゃ美味しかった.
●ポンペイ
大学一年生のころ,渋谷の文化村で開かれた「ポンペイ展」を見て以降,一度訪れてみたかったポンペイに行くことができた.
売春宿のある方向を指し示す印(露骨過ぎないか?)
火山からの噴出物によって一夜にして埋もれてしまったポンペイという街は,しばしばロマンチックに語られがちであるが(ポンペイ展に魅せられた僕も実際そう思っていた),ポンペイの貴族は非常に享楽的で退廃した生活を送っていたようである.例えば,貴族はベッドに寝たまま食事をする.そして大量に食べては吐くということを繰りかえしていた(食べたものを吐くための部屋がある).また,ポンペイ遺跡は500メートル四方程度のサイズなのだが,その中に25もの売春宿が見つかっている(都内におけるコンビニの密度より高いよね).
●国立考古学博物館
イタリアのグループが論文にも引用してた絵.絵中の左にいる葡萄に包まれた男はワインの神様らしい.後ろの山はベスビオ火山.
■最後に
ナポリのよかったところ
●ピザが美味しくて安い(3ユーロ〜)
ナポリ生まれナポリ育ちの人に教えてもらった"sorbillo"という店が最高だった.2回行った.
http://www.accademiadellapizza.it/index.php
●何かみんな楽しそう
よく分からないけど,総じて幸福度が高そうだよね,という話になった.
街の人は結構親切で,道が分からなくて困ってたら,教えてくれたりした.
よくなかったところ
●レストランでぼられる
とあるレストランで10ユーロくらいぼられた.
ぼられた上での価格でも安く感じてしまうけれども,腹が立ったので,
「領収書をくれ」と言うと慌ててレジを打ち直して
「計算が間違っていた」とかなんとか言いながら5ユーロほど返ってきた.
だが,まだ幾分か確実にぼられていたと思う.
総じて楽しかったです.
2010/07/25-27 地球観測実習
7月25日から27日まで、大学院の授業「地球観測実習」で、
浅間山・草津白根山に行ってきました。
■浅間山
浅間観測所の近くにある露頭で、先生から解説を受ける。
黒いところは火山灰と思い込んでいたのだが、実際は、
植生が回復したことによって形成された土壌だそうだ。
恥ずかしい。。。
浅間山北にある駐車場から浅間山を臨む。
が、この駐車場は、浅間山でのミューオン観測器を置くときに
すでに来たことがあった。駐車場で検出器の遮光が甘かったことが
発覚し、5時間ほど遮光テープを巻き続けた悪夢が蘇った。
道すがら見つけた料理屋。ついに私が卒業した「地球惑星物理学科」
は料理になった。
草津温泉のエリアに泊まったため、湯畑を見学したり足湯に入ったりと
観光もたくさん出来たし、フレッシュな学部生たちとスイカ割りしたり、
先生と酒を飲んだり、楽しく過ごせました。
2010年5月GW 吉備・鬼退治の旅
岡山の中村G氏の家に遊びにいっています。
せっかく、岡山に来たので、
「鬼退治でもいったらええんちゃうん?」
ということになり、鬼退治をすることになった。
■
5月3日、まず、天然記念物である「カブトガニ」から退治
することになった。
カブトガニ博物館へのバスはおよそ3時間に一本しかな
いため、わずか20分の滞在となってしまった。
笠岡と言えば、「笠岡ラーメン」(駅に着いて初めて
知った)。るるぶで最もフィーチャーされていた
ラーメン屋に行ったのだが、なんとショッピングセンター
の中にあり、しかも親子丼とかカレーとかも出してるような
店だった。鳥ガラベースのスープで、チャーシューのかわり
に鳥肉が入っているのが特徴だった。
■
5月4日 桃太郎伝説発祥の地「鬼ノ城」を攻略する
まず、旅の安全を祈って、JR吉備線の吉備津駅で降り、
吉備津神社に向かった。
吉備線は昼間はほとんど本数がなく、吉備津駅に戻った
あと服部駅へ行くために、1時間ほど待つはめになった。
服部駅からは、砂川公園に向かって歩いた。
途中で、同じく鬼ノ城を目指すおじさんと仲良くなった。
鬼ノ城が、築城されたのは7世紀ごろのことらしい。
当時、白村江の戦い等で、海外との緊張関係が増していた
状況の中で、大和朝廷がつくらせたものであるという。
山上での築城については高度な土木技術が必要であり、
百済からの亡命貴族に土木技術を任せた
という記録が残っている。
しかし、服部駅に書かれていた案内によると、
百済の貴族が、鬼と呼ばれていたという。それに
日本政府から派遣された吉備津彦命が立ち向かい、
倒した。これが桃太郎伝説の起源だという。
ただし案内書は、最後に
「でも実は百済の貴族は、日本に鉄の技術を伝えてくれる
などやさしい鬼だったのです」
とのフォローも忘れていなかった。
桃太郎伝説が現在の形になったのは、室町時代のこと
のようなので、話が出来上がっていく間に、
善悪の役割がひっくりかえったのだろうか?
とにかく鬼退治は成功した。。。のだろうか。。。
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暇すぎて引っ張り出してきたジェンガ
GWリフレッシュできました。